📅 2026年6月9日 (0日前に公開)

以前、睡眠検査を受けたものの、
「CPAP治療の基準に届いていません」
「もう少し悪くなったら治療を考えましょう」
と言われた方はいませんか?
——そんな方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
2026年6月1日から、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療の保険診療上の基準が見直されました。
以前は数値が届かなかった方も、現在の基準では治療対象になる可能性があります。
特に、以前の簡易検査でREI30〜39、精密検査でAHI15〜19だった方は、一度確認してください。
診療をしていると、以前の検査で基準に届かず、その後もいびきや日中の眠気を抱えたまま過ごしている方に出会います。
「一度対象外と言われたから、自分は治療できない」と思い込んでいる方も少なくありません。
今回の基準変更を、そうした方に知ってほしいと思い、この記事を書きました。
目次
今回、特に確認してほしい方
- 以前の簡易検査でREI30〜39だった方
- 以前の精密検査でAHI15〜19だった方
- 「数値が基準に届かない」と説明されたことのある方
- いびき、日中の眠気、朝の頭痛が続いている方
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まる病気です。本人は気づかないことが多く、いびきや日中の強い眠気、朝の頭痛、集中力の低下といった症状として現れます。
放置すると高血圧・不整脈・心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高まることが知られており、「疲れやすい体質」「年のせい」と見過ごしてしまうのは危険です。心当たりがある方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
なお、女性の場合はいびきや無呼吸が目立たず、不眠・倦怠感・気分の落ち込みといった症状として現れることがあります。「自分は関係ない」と思っている方もぜひ女性の睡眠時無呼吸の非典型症状についての記事もあわせてご覧ください。
AHIとは何か
SASの重症度を測る指標が AHI(無呼吸低呼吸指数) です。1時間あたりに「無呼吸(呼吸が10秒以上止まる)」と「低呼吸(呼吸が浅くなる)」が合計何回起きたかを示す数値で、高いほど重症です。
一般的な重症度の目安は次のとおりです。
- AHI 5未満:一般にSASの診断基準には該当しません
- AHI 5〜15未満:軽症
- AHI 15〜30未満:中等症
- AHI 30以上:重症
REIとは何か
REIは、自宅で行う簡易検査で測定される数値です。
1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起きたかを示し、数値が高いほど睡眠時無呼吸が重いと判断されます。
2026年6月から何が変わったのか
今回の診療報酬改定で、CPAP治療を保険診療で開始する際の基準が見直されました。具体的には以下のとおりです。
| 検査の種類 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 簡易検査 自宅で機器を装着して行う比較的簡便な検査 | REI40以上 | REI30以上 |
| 精密検査(PSG) 脳波、呼吸、血中酸素濃度などを測定し、睡眠の状態を詳しく調べる検査 | AHI20以上 | AHI15以上 |
今回の改定で特に変わったのは2点です。まず、簡易検査でREI 30以上であれば、精密検査なしでCPAPを開始できるようになりました。改定前は、簡易検査でREI 40未満の場合は精密検査(PSG)が必要で、さらに精密検査でAHI 20以上でなければCPAPの保険適用が受けられませんでした。
次に、精密検査を受けた場合のCPAP適用基準も、AHI 20以上からAHI 15以上に引き下げられました。これらの変更により、これまで「もう少し悪くなってから」と経過観察になっていた方も、今回の改定で治療対象に入りました。(参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に関する通知」)
「以前、対象外と言われた方」へ
数年前に検査を受けて「数値が足りないため治療できない」と言われた方は、現在の基準では対象になる可能性があります。
以前の検査結果は参考になりますので、お持ちの場合は受診時にご持参ください。
ただし、現在の状態を確認するため、当院では原則として改めて検査を行ったうえで判断します。
また、以下のような症状が続いている方は、まだ検査を受けていなくても一度確認してみることをおすすめします。
- 激しいいびきがある、または指摘されたことがある
- 睡眠中に呼吸が止まると言われたことがある
- 朝起きても疲れが抜けない、頭が重い
- 日中に強い眠気があり、居眠りしてしまうことがある
- 血圧が高く、薬を飲んでもなかなか安定しない
CPAP治療について
CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)は、小型の機器から圧力をかけた空気を鼻マスクを通して送り込み、眠っている間の気道の閉塞を防ぐ治療法です。1998年から健康保険が適用されており、多くの研究で効果が確認されています。
機器は本体・チューブ・マスクで構成されており、就寝中に装着します。大きさは15〜20cm程度で持ち運びも可能です。使用することで睡眠中の無呼吸が解消され、日中の眠気・集中力低下・血圧の改善などが期待できます。
当院での検査・治療の流れ
当院では、まず自宅でできる簡易睡眠検査から対応しています。自宅で機器を装着して眠るだけで、入院の必要はありません。
検査結果をもとに診断を行い、CPAP治療が適切と判断された場合は外来での治療開始が可能です。機器の使い方は丁寧にご説明します。「検査したいけど、入院は難しい」という方もお気軽にご相談ください。
2026年6月の基準改定により、以前より治療を始めやすい環境が整いました。「もしかしたら」と思ったら、まず確かめることが健康への第一歩です。
本記事は、2026年度診療報酬改定に関する厚生労働省の告示・通知に基づいて作成しています。実際の適用可否は、検査結果や症状、医師の診断によって異なります。
よくあるご質問
保険適用の場合、月1回の通院(機器の確認・処方継続)で自己負担は3割負担の方で約3,000〜5,000円程度が目安です(診察料・機器レンタル料含む)。1割・2割負担の方はさらに低くなります。初回の検査費用は別途かかりますが、いずれも保険適用です。
はい、可能性があります。2026年6月から、精密検査ではAHI20以上から15以上へ、簡易検査ではREI40以上から30以上へ基準が見直されました。以前の検査結果は診療の参考になりますので、お持ちの場合はご持参ください。
ただし、現在の状態を確認するため、当院では原則として改めて検査を行ったうえで判断します。


