📅 2026年6月16日 (0日前に公開)

寝ても寝ても、疲れが取れない。
休日にいつもより長く寝たのに、月曜の朝から体が重い。
子どもと一緒に早く寝たはずなのに、朝からスッキリしない。
内科外来でも、こういう相談はよくあります。
もちろん、睡眠時間の確保はとても大切です。
ただ、診療をしていると、睡眠時間が確保しているのにも関わらず、疲労を感じている方がいらっしゃいます。
その場合に見直したいのが、「寝る」以外の休み方です。
疲れていると、ぼくらは「もっと寝ればよくなるはず」と考えます。
ただ、寝ても疲れが抜けないときは、睡眠時間だけでなく、「活力が戻っているか」に目を向ける必要があります。
この視点を持つと、休むことは「ただ横になること」ではなく、「元気を取り戻す行動」として考えやすくなります。
この記事では、『寝てもとれない疲れが消える マンガでわかる休養学』をもとに、「寝ても疲れが取れない人」が、今日から見直せる休み方を紹介します。
目次
寝ても疲れが取れない人は多い
「寝ているはずなのに疲れが取れません」
「休んでいるつもりなのに、朝からだるいです」
「休日に寝だめしても、月曜日にはまた疲れています」
外来でも、こうした声を聞くことがあります。
疲れている人は、とても多いです。
一般社団法人日本リカバリー協会が全国10万人を対象に行った調査では、日本人の約8割が「疲れている」と感じているそうです。
その割合は20代~40台に多く、最も多いのは30代だそうです。
一番、働き盛りの世代の方が疲れを感じているのが日本の現状です。
「寝る時間を増やせばいい」と言われても、その時間がそもそも取れない人も多いはずです。
そして、ようやく寝る時間を確保しても、疲れが抜けない。
こういう疲れ方をしている人は、睡眠時間だけに原因を求めない方がいいかもしれません。
実は、ぼく自身も、以前は同じように感じていました。
仕事をして、遅く帰って、早く寝る。
一見すると、ちゃんと休んでいるように見えます。
でも、その生活を続けていても、なぜか疲れが抜けない時期がありました。
逆に、仕事が終わったあとに少し楽しい予定がある日は、翌日の方が元気に感じることもありました。
多少夜ふかしをしても、趣味に触れた日や、気分転換できた日は、体が軽い。
あれは、ただの気分の問題ではなかったのだと思います。
『寝てもとれない疲れが消える マンガでわかる休養学』を読むと、その理由がよく分かります。
疲れを取るには、ただ寝るだけでは足りないことがあります。
大事なのは、「寝る」ことに加えて、活力を取り戻す休み方を持つことです。
もちろん、病気が隠れている疲れもあります
ここで、医師としてひとつ補足しておきます。
寝ても疲れが取れない背景に、病気が隠れていることもあります。
たとえば、貧血、甲状腺の病気、糖尿病、肝臓や腎臓の病気、うつ状態、薬の影響などです。
そして、睡眠の質を下げる病気として、睡眠時無呼吸症候群もあります。
特に、
いびきが大きい。
寝ている間に息が止まると言われた。
日中の眠気が強い。
朝起きたときに頭が重い。
高血圧を指摘されている。
こうした症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群も確認したい病気のひとつです。
睡眠時無呼吸症候群については、別の記事で詳しく書いています。
気になる方は、あわせて読んでみてください。
検査では大きな異常がない。
睡眠時間も極端に短いわけではない。
それでも疲れが抜けない。
そういう人にとって、本書の「休養学」の考え方は、とても参考になります。
「疲労」の対義語は「睡眠」や「休養」ではなく、「活力」
休養学の観点では、「疲労」の対義語は「睡眠」や「休養」ではなく、「活力」です。
ここが大きなポイントです。
疲れていると、ぼくらはすぐに「寝なければ」と考えます。
もちろん、睡眠は大切です。
睡眠不足のままで元気に過ごすことはできません。
でも、寝るだけで必ず元気になるとは限りません。
体を横にしていても、こころが休めていないことがあります。
同じ場所で、同じ悩みを考え続けていることがあります。
仕事や家事や育児の緊張が抜けないまま、布団に入っていることもあります。
その状態では、長く寝ても疲労感が残ることがあります。
つまり、疲れを取るには、睡眠時間だけでなく、活力を戻す視点が必要です。
何をどう休めばいいのか。
自分の疲れに合った休み方は何か。
そこまで具体的に考える必要があります。
必要なのは「攻めの休養」です
本書では、「攻めの休養」という考え方が紹介されています。
攻めの休養と聞くと、少し大変そうに感じるかもしれません。
でも、難しいことをする必要はありません。
やることはシンプルです。
「寝る」に、もうひとつ休み方を足す。
それだけです。
疲れているなら、すぐ寝た方がいい。
そう考えるのは自然です。
でも、活力が落ちているときは、寝る前に少しだけ別の休み方を足した方が、回復しやすくなることがあります。
軽く体を動かす。
好きな音楽を聴く。
窓を開けて外の空気を吸う。
湯船につかる。
友達に一言だけ連絡する。
こうした小さなことが、活力を戻すきっかけになります。
休むことは、ただ何もしないことではありません。
自分に合った方法で、からだとこころと環境を整えることです。
休養には3つの種類があります
本書では、休養を大きく3つに分けて考えます。
| 休養の種類 | どんな休み方? | 具体例 |
|---|---|---|
| 生理的休養 | からだを整える | 湯船につかる・軽く散歩する・体を伸ばす・食事を整える |
| 心理的休養 | こころをゆるめる | 好きな音楽を聴く・ドラマを見る・本を読む・友達に連絡する |
| 社会的休養 | 環境を変える | 窓を開ける・ベランダに出る・カフェに行く・通勤ルートを変える |
生理的休養、心理的休養、社会的休養です。
言葉だけ見ると少し難しそうですが、内容はとても身近です。
生理的休養は、からだを整える休み方です。
心理的休養は、こころをゆるめる休み方です。
社会的休養は、環境を変える休み方です。
この分け方を知るだけで、自分に足りない休み方が見えやすくなります。
「自分は寝ているのに疲れている」
そう感じる人は、もしかすると睡眠以外の休養が足りていないのかもしれません。
からだを整える休み方
生理的休養は、からだを整える休み方です。
寝ることだけではありません。
湯船につかる。
近所を軽く散歩する。
寝る前に体を伸ばす。
食事を整える。
胃腸が疲れている日は、食事を少し軽くする。
こうしたことも、立派な休養です。
疲れているときほど、完全に何もしない方がいいと思いがちです。
でも、軽く動いた方が体が楽になることがあります。
散歩をしたあとに、頭が少しスッキリする。
お風呂に入ったあとに、体のこわばりが抜ける。
ストレッチをしたあとに、呼吸が少し深くなる。
こういう感覚は、多くの人にあると思います。
もちろん、強い疲労があるときに無理な運動をする必要はありません。
大切なのは、がんばることではなく、からだが少し整う行動を意識的に選ぶことです。
こころをゆるめる休み方
心理的休養は、こころをゆるめる休み方です。
好きな音楽を聴く。
ドラマを1本見る。
推しの動画を見る。
本を少し読む。
友達に一言だけ連絡する。
5分でいいので、「やらなければならないこと」から離れる時間を作る。
これが、こころの充電になります。
疲れている人ほど、好きなことを後回しにします。
仕事が終わったら家事。
家事が終わったら子どものこと。
それが終わったら明日の準備。
気づいたら、自分のための時間がなくなっています。
でも、好きなことに触れる時間は、ぜいたくではありません。
活力を取り戻すために必要な時間です。
「疲れているのに遊ぶなんて」と思う方もいるかもしれません。
でも、こころのエネルギーが落ちているときほど、小さな楽しみが回復のきっかけになります。
場所を変える休み方
社会的休養は、環境を変える休み方です。
いつもの場所から、少しだけ離れる。
窓を開ける。
ベランダに出る。
机を片づける。
近所のカフェに行く。
通勤ルートを少し変える。
景色が変わると、気持ちも切り替わります。
同じ部屋で、同じ姿勢で、同じ悩みを考え続けていると、疲れは抜けにくくなります。
ほんの少し場所を変えるだけでも、頭の中に余白ができます。
大きな旅行に行く必要はありません。
ベランダに出て、外の空気を吸う。
机の上を少し片づける。
いつもと違う道を歩いてみる。
それだけでも、社会的休養になります。
ぼくもよくスターバックスやタリーズといったカフェによく行き、気分を変えてます。
全部やろうとしなくていいです
ここで大事なのは、全部やろうとしないことです。
疲れているときに、休養まで完璧にしようとすると、逆にしんどくなります。
運動もしなければいけない。
食事も整えなければいけない。
趣味の時間も作らなければいけない。
部屋も片づけなければいけない。
そう考えると、休むこと自体が負担になります。
最初は、ひとつだけで十分です。
「寝る」に、もうひとつだけ足す。
湯船につかる。
好きな音楽を1曲聴く。
5分だけ散歩する。
窓を開ける。
机の上を少しだけ片づける。
このくらいで大丈夫です。
休養は、真面目にがんばるものではありません。
自分の活力を少し取り戻すために、できることを小さく選ぶものです。
疲れを放置しないために、自分に合った休み方を持っておく。
「寝る以外の休み」をひとつ足す。
そこから、疲れの抜け方が少し変わるかもしれません。
片野秀樹『寝てもとれない疲れが消える マンガでわかる休養学 最高のパフォーマンスを生む休み方』KADOKAWA, 2025


