季節の健康情報

子どもの世界は、大人より7℃暑い 〜「こども気温」を知っていますか〜

🔄 最終更新日: 2026年8月5日

📅 2026年8月3日 (2日前に公開)

強い日差しの下、大人と子どもが手をつないで歩くイラスト。地面に近い子どもの周りには熱がこもっている

天気予報の気温は、大人の気温。子どもの熱中症対策は、そこから始まります。

「こども気温」とは? 大人31.1℃、子ども38.2℃の実験

天気予報が「31℃」と言った日。
お子さんのまわりは、38℃かもしれません。

2023年、飲料メーカーのサントリーと気象会社ウェザーマップが、こんな実験をしました。

真夏日の屋外に、大人と子どもの背丈のマネキンを並べる。
それぞれの胸の高さで、気温を測る。

大人の胸の高さ(150cm):31.1℃

子どもの胸の高さ(80cm):38.2℃

その差、約7℃。

子どもの高さの気温は、体温を超えていました。

大人と子どもが同じ場所に立ち、胸の高さの気温を比べた図。大人の高さは31.1℃、子どもの高さは38.2℃
同じ場所なのに、7℃ちがう
大人の胸の高さ
(150cm)
31.1℃
その差約7℃
子どもの胸の高さ
(80cm)
38.2℃

※快晴の真夏日、屋上のコンクリート上という条件での測定です。風・湿度・日陰・地面の材質によって差は変わります。ただ「背が低いほど照り返しの影響を受けやすい」こと自体は、どこでも同じです。

この「地面に近い子ども特有の暑さ」を、実験を行ったサントリーは「こども気温」と名付けています。

ベビーカーの中の赤ちゃん。
アスファルトの上を歩く保育園児。
公園の砂場にしゃがみ込む子。

みんな、大人の顔より地面のほうが近い。
大人が「今日は暑いね」と感じる日、子どもはもっと暑い世界にいます。

では、なぜ同じ場所で7℃も違うのでしょうか。

なぜ7℃も違うのか 正体は地面からの「照り返し」

暑さの正体は、空気だけではありません。地面からの「照り返し」です。

アスファルトやコンクリートは、太陽の熱をため込んで、下から熱を放ちます。
地面に近いほど、その熱を強く浴びる。
だから、背の低い子どもほど暑いのです。

しかも照り返しは、目に見えません。
大人が「まだ大丈夫」と感じていても、子どもの高さでは危険水域。ここに落とし穴があります。

子どもは「暑さに弱い体」で生まれてくる

環境だけではありません。体のつくりも不利です。

汗をかく機能が、まだ未熟。熱を外に逃がしにくい。

体重のわりに体の表面積が広い。外の熱の影響を受けやすい。

そして、「暑い」「しんどい」をうまく言葉にできない。

暑い環境 × 暑さに弱い体 × 自分で訴えられない。
だから子どもの熱中症は、大人が先回りするしかないのです。

迷ったときの目安は「予報の気温+7℃」

原則はひとつ。
「子どもは、大人の体感より暑い世界にいる」と考えて動く。

何℃暑いかは、その日の条件で変わります。
でも、迷ったときの目安として「予報の気温+7℃」を頭に置いておくと、対策のスイッチが入りやすくなります。

今日からできる「こども気温」対策 4つ

  1. 移動は日陰ファースト。
    同じ道でも、日なたと日陰では別世界。ビルやマンションの壁からも照り返しは来ます。ルート選びから対策は始まっています。
  2. 遊びと水分補給を「30分セット」に。
    子どもは遊びに夢中になると飲みません。「30分遊んだら、日陰で休んで飲む」を遊びのルールにしてしまう。汗をかく日は、水分と一緒に塩分も。
  3. プール・海こそ油断しない。
    水の中でも汗はかいています。しかも水面やプールサイドからの照り返しつき。「水遊び=涼しい」ではありません。ここでも定期的な水分補給を。
  4. 凍らせた飲み物を1本持つ。
    飲んで水分補給、当てて体を冷やす。一本二役。万が一のときの「冷やす道具」にもなります。

暑さが長引く時期は、寝苦しさや食欲の落ち込みもいっしょにやってきます。あわせて朝晩は涼しいのに日中は暑い。札幌の夏バテ対策もどうぞ。

ありがちな2つの誤解

誤解
「大人が平気なら、子どもも平気」
本当のところ
子どもは大人より約7℃暑い環境にいて、体も暑さに弱い。大人の体感は、あてになりません。
誤解
「子どもが『暑い』と言ってから対応すればいい」
本当のところ
小さな子は不調を言葉にできません。顔が赤い・汗がひどい・機嫌が悪い・ぐったり。この4つは大人が見るサインです。

熱中症が疑われたら、まず「クールファースト」

もし熱中症が疑われたら、まず「クールファースト」。
涼しい場所へ移し、服をゆるめて体を冷やし、水分と塩分をとらせてください。
意識がぼんやりしている、自分で水が飲めない——このときは迷わず医療機関へ。夜間や休日なら救急要請をためらわないでください。

まとめ:「こども気温」チェックリスト

大人が平気でも、子どもは暑い。
こども気温チェックリスト。日陰を歩く親子、水筒と時計、ほおが赤い子どものイラストで外遊びの熱中症対策をまとめたシート
「こども気温」チェック大人より約7℃暑い世界にいます
① お出かけ前「予報+7℃」を想像して、道も行き先も日陰ファースト
② 外遊び中30分ごとに日陰で休んで、水分と塩分
③ この4つを見る顔が赤い/汗がひどい/機嫌が悪い/ぐったり
あやしいと思ったら「クールファースト」=涼しい場所へ移す・服をゆるめる・体を冷やす・水分と塩分。意識がぼんやりしている、自分で水が飲めないときは、すぐ受診・救急へ。

参考:サントリー食品インターナショナル×ウェザーマップ社 共同検証実験(2023年7月発表)、環境省「熱中症環境保健マニュアル」

📅 診察のご予約はこちら

Web予約はこちら

南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸(こばやし としゆき)|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。子どもからおとなまで、家族をまるごと診られる町の医師でありたい。診察室で「聞いてよかった」と言ってもらえた話を、ここに書き残しています。 お問い合わせはこちら

-季節の健康情報
-, ,