予防接種

世界で急増する麻疹。「日本は大丈夫」という常識は疑ったほうがいいかも。

「はしかって、もう昔の病気でしょ?」
そう思っている方、実はとても多いんですよね。

でも今、世界では麻疹がはっきりと増えています
そしてその波は、もう日本にも少しずつ届いてきています。

必要以上に怖がらなくて大丈夫です。
ただ、知っていれば防げることが本当に多いので、ぜひ最後まで読んでみてください。


結論:今すぐ「母子手帳」を1分だけ見てみてください

まず最初に結論からお伝えします。

母子手帳で、麻疹ワクチンを「2回」受けているかどうか。
ここだけ、今日確認してみてほしいんです。

理由はシンプルで、麻疹はワクチン以外ではほぼ防げない感染症だからです。


【2026年最新】世界の麻疹、どれくらい増えているの?

数字を見ると、状況がよくわかります。

◆ 世界全体(WHO 2024年データ)
2024年、世界では麻疹により約9万5,000人もの方が亡くなりました。その大多数が5歳未満の子どもたちです。ワクチンがあるにもかかわらず、これだけの方が亡くなっているというのは、やはり深刻な話だと思います。

◆ アメリカ(CDC 2026年4月9日現在)
2026年に入ってから、アメリカではすでに1,714件の麻疹が確認されています。2025年の年間件数は2,287件で、前年(2024年:285件)のほぼ8倍に急増しました。2025年には3名が亡くなっています。

アメリカで麻疹が「排除済み」と宣言されたのは2000年のこと。それから四半世紀が経った今、なぜこれほど増えているのか。最大の理由は、子どものワクチン接種率が95%を下回る地域が増えてきたことです。

◆ 日本(厚生労働省 2026年4月)
厚生労働省は2026年4月13日、「麻しんの発生に関するリスク評価等について」という報道発表を行い、日本国内でも麻疹が増加していると公式に注意喚起しています。海外からの輸入症例が増えているだけでなく、海外渡航歴のない方への感染も報告されているんです。


なぜ今、麻疹が増えているの?理由は3つだけ

理由① 世界的に「免疫を持たない人」が増えている

麻疹を防ぐには、社会全体で95%以上の人が2回接種している必要があります。でも実際には、そこに届いていない国がたくさんあります。WHOによると2024年に世界でワクチン2回接種を受けた子どもは76%にとどまっていて、約3,000万人の乳幼児が十分な接種を受けられていない状態なんです。

日本でも、2022年度の接種率は92.4%まで低下してしまいました。WHOが目標とする95%を下回っている状況です。

理由② コロナ禍でワクチンを逃した世代がいる

パンデミックの時期に、「あとで受けよう」と先延ばしになった予防接種。その"空白"が、今になって影響してきています。麻疹はすきがあると一気に広がる感染症です。1人の感染者から最大18人に広がるとされていて、インフルエンザ(1人から2〜3人)をはるかに上回る感染力があります。

理由③ 人の移動で、日本にも普通に入ってくる

海外で流行すれば、ウイルスが日本に入ってくるのも時間の問題です。実際、海外からの持ち込みをきっかけに日本各地で報告が増えています。さらに今は、海外渡航歴がない方への感染も出始めています。国内での感染がすでにつながり始めている可能性があります。


麻疹が「ただの発疹の病気」じゃない理由

ここはよく誤解されるところです。

麻疹は
・とにかく感染力がとても強い
マスクや手洗いでは防げない
・空気中に最大2時間残ることもある

さらに、
・肺炎
・脳炎(1,000人に1人程度)
・数年後に起こる致死的な合併症(亜急性硬化性全脳炎)

こういったリスクも、ゼロではありません。先進国でも死亡率は1,000人に1人と言われています。

「ほとんどの人は軽くすむ」——それは確かなこと。でも、誰が重くなるかは誰にもわかりません。だからこそ、予防がとても大切なんです。


あなたの予防接種歴を確認しましょう

麻疹ワクチン(MRワクチン)は、生まれた時期によって接種回数や接種状況が異なります。特に接種歴が不明な方や、1回しか受けていない可能性のある方は要注意です。

1977年以前生まれの方

1966年から麻疹の任意接種が始まりましたが、接種を受けていないケースも少なくありません。ただし、この世代の多くは自然感染によって免疫を獲得している可能性があります。

1978年〜2005年生まれの方

1978年10月以降、麻疹の定期接種が1回実施されるようになりました。特に1990年代生まれの方々は接種回数が不完全な場合があり、要注意です。2007年の麻疹大流行を受けて2回目の接種が推奨されましたが、受けていない方も多くいます。

2006年以降生まれの方(特に5歳〜7歳未満のお子さん)

2006年以降に生まれた方は、生後1歳と小学校入学前に2回の予防接種を受けることが推奨されています。しかし、小学校就学前の1年間(5歳から7歳未満)は第2期のワクチン接種を忘れがちな時期です。

お子さんが5歳〜7歳未満のご家庭は、今すぐ母子手帳でMRワクチンを2回接種済みかどうかを確認してください。まだの場合は、小学校入学前に忘れずに接種を完了させましょう。


よくある質問:「自分は大丈夫かな?」を整理します

Q. 子どもの頃にかかった気がする
→ 記憶はあいまいになりやすいもの。母子手帳の記録が一番確実ですよ。

Q. 1回は打ってると思うけど…
→ 麻疹は2回接種が基本です。1回だけでは、十分でないことがあります。

Q. 大人でも関係ありますか?
→ はい、あります。特に、接種歴がはっきりしない方は要注意です。1990年代生まれの方は、接種回数が不完全な場合もあります。成人でも未接種の方や接種歴が不明な場合は、医療機関にご相談ください。

Q. 海外に行く予定がないから大丈夫ですよね?
→ 今は国内でも感染が広がっています。渡航歴のない方への感染も報告されていますので、油断は禁物です。


今日できる小さな行動

難しいことは何もありません。

・母子手帳を出す
・「麻疹」「MR」の欄を見る
・2回分のチェックがついているか確認する

これだけでOKです。

もし「よく分からない」「1回しかない」という場合は、
ワクチンを受けることを考えてみてください。

麻疹は、正しく知って適切に対処すれば、それほど怖い病気ではありません。でも「昔の病気」と思って油断していると、いつの間にか状況が変わっていた——ということになりかねません。まず今日、1分だけ確認してみてくださいね。


参考:WHO Measles Fact Sheet(2025年)、CDC Measles Cases and Outbreaks(2026年4月10日更新)、厚生労働省「麻しん(はしか)」ページ(2026年4月13日更新)


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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。「がんばりすぎない健康」をテーマに情報発信中。 お問い合わせはこちら

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