予防接種

「子どもの頃にはしかをやったかも」でもMRワクチンを打っていい?─CDC・厚労省の見解

📅 2026年5月7日 (0日前に公開)

「ニュースで麻疹流行を知って、自分の免疫が気になった」
「子どもがMRを打つ時、ふと自分は?と思った」
「子どもの頃にはしかをやった気がするけど、自信がない」

診察室で、こんなお話をうかがうことが増えています。

2026年は国内の麻しん報告数が増加しており、厚労省資料では2024年45例、2025年265例に対し、2026年は第14週時点で241例と、例年より高い水準で推移しています。札幌のクリニックでも「私の免疫は大丈夫?」というご相談が増えてきました。

なかでもよく聞かれるのが、「子どもの頃にはしかをやった気がするんですけど、ワクチンを打って大丈夫ですか?」というご質問。記憶があやふやなまま打って、副反応が強く出たりしないか、不安になりますよね。

結論からお伝えすると——大丈夫です

結論:罹患歴があっても、MRワクチンを打って害はありません

過去にはしか(麻しん)にかかった可能性があっても、MRワクチンを追加で接種して問題はありません。

実はこの点、米国CDCと日本の厚生労働省はそれぞれ公式に見解を出しています。順に見ていきましょう。

CDCの見解:「もう一度打っても害はありません」

米国疾病予防管理センター(CDC)は、麻しん・おたふくかぜ・風しんに対してすでに免疫があるかもしれない人がMMRワクチンを追加接種することについて、はっきりこう示しています。

MMRワクチンは安全です。すでに免疫があるかもしれない場合でも、もう一度接種を受けることに害はありません。 — CDC公式サイトより筆者要約

接種記録が確認できない場合は、まず記録を探し、それでも文書記録や免疫の証拠が確認できなければ、追加接種を検討できます。

「打つかどうか悩むより、打って確実に守る」という、シンプルで実用的な考え方です。

厚生労働省の見解:「副反応は増強しません」

厚生労働省のMRワクチンQ&Aにも、同じ趣旨の記載があります。

麻しんにかかったことがある人がワクチン接種をしても、副反応は増強しません。 — 厚生労働省 MRワクチンQ&Aより

風しんについても同じ趣旨が記載されており、MRワクチン全体として、罹患歴があっても・あいまいでも、追加接種に安全上の問題はないと示されています。

なぜ「重複して打っても」問題ないのか

「すでに免疫があるところに、もう一度ワクチンを打ったら、強い反応が出るのでは?」と心配される方は多いです。

ですが、すでに免疫がある可能性があっても、追加接種によって副反応が強くなるとはされていません。そのため、接種歴や罹患歴があいまいな場合の選択肢として、追加接種は現実的な方法です。

実際に体の中で起きていることは、おおむね次のように整理できます。

状態体の反応
既に免疫あり体内の抗体が弱毒化ウイルスに反応
免疫なし通常の免疫獲得プロセス。発熱や発疹が出ることも

いずれの場合も、「過去の感染歴があるから副反応がひどくなる」ということは報告されていません。

こんな方は追加接種を検討してください

特に20〜50代の女性で、以下に当てはまる方は、追加接種を考える価値があります。

  • 妊娠を希望している/パートナーが妊娠中
  • お子さんがいて、家族みんなで免疫を守りたい
  • 保育・教育・医療・介護のお仕事をしている
  • 母子手帳などで2回の接種歴が確認できない
  • 「子どもの頃にかかった気がする」が確証はない
  • 海外渡航の予定がある

※ 特に2000年4月1日以前生まれの方は、定期接種として2回受ける機会がなかった可能性があります。接種歴が不明な場合は、抗体検査または追加接種をご検討ください。

特に妊娠を希望されている方は、ご自身だけでなく、お腹の赤ちゃんを守るためにも大切なタイミングです。妊娠中に麻疹にかかると流産・早産のリスクが高まるため、妊活を始める前に免疫を整えておくことが、もっとも安心できる選択です。

なお、男性や他の年代の方も、上記に当てはまる項目があれば同じように追加接種をご検討ください。

抗体検査をするか、直接接種するか?

迷ったら、次の流れで考えてみてください。

接種記録がある場合

  • 2回接種済み → 原則そのままでOK
  • 1回のみ → 追加接種を検討

接種記録がない・あいまいな場合

2つの選択肢があります。

選択肢A:抗体検査をしてから判断
○ 免疫があれば接種せずに済む
× 検査費用がかかる
× 結果が出るまで時間がかかる
× 受診回数が増える(検査→結果説明→必要なら接種)
選択肢B:抗体検査をせずに直接接種
○ 接種歴に応じて、必要な免疫を補いやすい
○ 必要回数を完了することで、より確実な予防効果が期待できる
× 状況により1〜2回の接種が必要(過去の接種歴によります)

CDCは、記録がなければ検査を待たず接種する対応も妥当としており、手間・費用・確実性のバランスで選んで問題ありません。

抗体検査の結果の見方は、別記事「抗体検査で『免疫不足』と言われたら?」に詳しくまとめています。

接種前に知っておきたい大切なこと

MRワクチンは生ワクチンです。次の点にご注意ください。

⚠️ 妊娠との関係で必ず確認を
  • 妊娠中の方は接種できません
  • 接種後2ヶ月間は避妊が必要です(お腹の赤ちゃんへの影響を避けるための予防的な措置)

「妊活を始める前に打っておく」というタイミングが、もっとも安心です。ご家族と接種スケジュールを話し合いながら、計画的に進めることをおすすめします。

よくあるご質問

副反応はどんなものがありますか?
主に接種後4〜12日ごろに、発熱や発疹がみられることがあります。重大な副反応としては、ショック/アナフィラキシー様症状、血小板減少性紫斑病、脳炎、けいれんなどが添付文書に記載されていますが、いずれもまれとされています。
妊娠中と気づかずに打ってしまったら?
気づかず接種した後に妊娠が判明した場合でも、そのことだけを理由に妊娠中断が必要とされているわけではありません。まずはかかりつけ医にご相談ください。
夫婦で受けたほうがいいですか?
妊娠を考えているご家庭では、ご本人だけでなく、パートナーや同居家族も接種歴を確認し、不明な場合は医師に相談することが勧められます。
子どもと同じ日に受けてもいいですか?
お子さんの定期接種のタイミングに合わせてご自身の接種を相談することは可能です。実際の接種可否や進め方は、医師と相談して決めると安心です。

まとめ

  • 罹患歴があっても・あいまいでも、MRワクチンを追加で打って大丈夫
  • 「子どもの頃にかかった気がする」「記録がない」場合は、抗体検査か直接接種で対応できる
  • 妊娠希望の方は、接種後2ヶ月の避妊期間を含めて計画的に

あなたが免疫を持つことは、ご自身だけでなく、お子さん、まだ生まれていない赤ちゃん、ワクチンを打てない人を守ることにもつながります。

📋 接種までの流れ
1
Webから予約(24時間受付)
または電話:050-3173-7832(診療時間のみ)
2
母子手帳をお持ちいただくとスムーズです(問診票は当院でお渡しします)
3
問診・接種を行います
MRワクチン費用(自費):8,500円(税込)
当院でMRワクチン接種・抗体検査を行っています

「自分は打ったほうがいい?」と迷ったら、
お気軽にご相談ください。

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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。「がんばりすぎない健康」をテーマに情報発信中。 お問い合わせはこちら

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