大人の病気 子どもの病気

30分ルールでわかる!その熱、本当に熱中症?

🔄 最終更新日: 2026年8月3日

📅 2025年7月1日 (1年以上前に公開)

その熱、30分待ってはいけない場合があります。

呼びかけへの反応がおかしい。
まっすぐ歩けない。けいれんしている。
汗が急に止まり、皮膚が熱く乾いている。
体温が40℃近い。水を自分で飲めない。

どれか1つでもあれば、体温計を置いて119番です。
この記事の「30分ルール」は、そこを外してから使うものです。

そして、もう一つ。

2026年6月1〜7日の1週間。
熱中症で救急搬送された人が全国でいちばん多かった都道府県は、東京でも大阪でもなく、北海道でした(75人)。
全国は867人、東京都62人・大阪府56人・埼玉県54人(総務省消防庁・週別速報値)。

2025年の夏、北海道の搬送者は2,727人
前年の1,615人から、約1.7倍。
全国では10万510人が運ばれ、統計開始以来もっとも多い夏になりました(総務省消防庁・令和7年確定値)。
道内の最新の搬送状況は北海道庁のページで毎週更新されています。

「北海道だから大丈夫」は、もう通用しません。
札幌の夏も、子どもが倒れる夏です。
実際、札幌でも車内は15分で危険温度に達します

子どもが外遊びや運動から帰ってきて急に発熱。「これって熱中症?それとも風邪?」と判断に迷ったことはありませんか?この記事では、「30分ルール」を使った見極め方と、すぐに救急車を呼ぶべき危険サインをわかりやすく解説します。

✅ この記事でわかること

  • 熱中症と感染症(風邪)を見分ける「30分ルール」の使い方
  • 熱が出たときのすぐにできる冷却・観察の手順(ステップ別)
  • 熱中症の重症度の見極め方と、各段階での対応
  • 迷わず119番を呼ぶべき危険サイン5つ

「30分ルール」とは?

熱中症と感染症(風邪・ウイルスなど)の大きな違いは、「涼しい場所に移動して冷やしたときに体温が下がるかどうか」です。目安は30〜60分。適切に冷却して30分以内に体温が下がり始めれば熱中症の可能性が高く、改善しない・また上がってくる場合は感染症を疑います。

確認ポイント熱中症を疑う感染症を疑う
発症のタイミング暑い屋外・運動後周囲に感染者がいる
冷やしたときの反応30分以内に体温が下がる改善しない・また上がる
その他の症状汗をかいている・顔が赤い鼻水・喉の痛み・咳
60分後の体温36〜37℃台に落ち着く38℃以上が続く

STEP 1:まず「状況」を確認する

熱が出る前の状況を確認しましょう。以下の項目に多く当てはまるほど、熱中症のリスクが高まります。

  • 気温30℃以上・湿度が高い環境にいた
  • 炎天下や風通しの悪い場所で過ごした
  • 激しい運動や長時間の屋外活動をした
  • 直近1時間以上、水分を取っていない
  • 濃い色の服を着ていた、帽子をかぶっていなかった

3つ以上当てはまる場合は、まず熱中症として対処しながら観察しましょう。

STEP 2:冷やす。そして0分・30分・60分を測る

冷やし方には、よくある誤解があります。

「首の後ろ・わきの下・足の付け根を保冷剤で冷やす」。
これは間違いではありません。
でも、それだけでは足りません。

日本救急医学会の『熱中症診療ガイドライン2024』は、冷却方法を1つに絞って推奨していません。
大事なのは「どこを冷やすか」ではなく「全身をどれだけ早く冷やすか」だからです。

家庭でやること(この順番で)

  1. 涼しい場所へ。エアコンの効いた室内が最優先。日陰では足りません。
  2. 服をゆるめる、脱がせる。熱を逃がす面積を増やします。
  3. 体に水をかけて、うちわや扇風機で風を当てる。水が蒸発するときに熱を奪うので、家庭でいちばん効率がよい方法です。霧吹き+扇風機でも構いません。
  4. 保冷剤や、氷を入れたビニール袋で、首・わき・足の付け根も。これは「追加の一手」。これだけで終わらせないでください。
  5. 意識がはっきりしていれば、経口補水液を少しずつ。(薬局で売っている、水分と塩分を同時に補える飲み物です)自分で飲めないなら、無理に飲ませずに受診してください。

※小さなお子さんは、水をかけると寒がってブルブル震えることがあります。震えると体はかえって熱をつくってしまうので、そのときは水を少しぬるめにして、風を弱めてください。
ただし、呼びかけへの反応が鈍いときは、震えていても冷やし続けたまま119番です。

ガイドラインでは、重症の場合は38.0℃を目標にすみやかに冷やすことが推奨されています。
出典:日本救急医学会『熱中症診療ガイドライン2024』

そして、時計を見る

ここからが「30分ルール」の本体です。
0分・30分・60分の体温を、紙にメモしてください。記憶に頼ると必ずぶれます。

  • 30〜60分で37℃台まで下がってきた → 熱中症の可能性が高い。安静と水分補給を続けます。くわしくはⅠ度症状の見つけ方もあわせてご覧ください。
  • 下がらない、または一度下がってまた上がる → 感染症を疑います。のどの痛みが強ければ溶連菌、目ヤニが出てきたらアデノウイルスのこともあります。
  • 意識がぼんやりしてきた → 60分を待たずに受診・救急要請を。

STEP 3:重症度を4段階で確認する

2024年、熱中症の重症度分類が改訂されました。
これまでの3段階(I〜III度)に、最重症の「IV度」が加わっています。

重症度主な症状対応のめやす
I度
(軽症)
立ちくらみ・あくびが止まらない・足がつる・汗が止まらない。意識ははっきりしている。涼しい場所へ移動して冷却。水分・塩分補給。30分おきに確認。
II度
(中等症)
頭痛・吐き気・嘔吐・強いだるさ。集中力や判断力が落ちている。すぐ冷却開始。60分たっても改善しなければ受診。
III度
(重症)
意識障害・けいれん・まっすぐ歩けない・ふらつく。肝臓や腎臓の障害、血が止まりにくくなることも。救急要請。冷やしながら救急車を待つ。
IV度
(最重症)
体温40℃以上、かつ呼びかけてもほとんど反応がない(目を開けない・受け答えができない)。皮膚が熱く乾いている。ただちに119番。救急車が来るまで、水をかけて風を当て、全力で冷やし続ける。

IV度とは:2024年に新しくつくられた、いちばん重い段階です。病院では体の内側の温度と意識の状態をきちんと測って判定しますが、ご家庭では体温計と呼びかけだけで大丈夫です。
「体が40℃くらい熱い(さわると明らかに熱い)」+「呼びかけてもはっきり反応しない」。
この2つがそろったら、IV度と考えて、すぐに119番してください。
出典:日本救急医学会『熱中症診療ガイドライン2024』

I度・II度の段階で気づけるかどうかが分かれ目です。
発熱=熱中症とは限らない、初期症状の見分け方もあわせてどうぞ。

もう一度:すぐに救急車を呼ぶサイン

大事なことなので、繰り返します。

次のどれか1つでもあれば、即・119番

  • 呼びかけへの反応がおかしい・意識がもうろうとしている
  • けいれんが起きている・まっすぐ歩けない
  • 汗が急に止まり、皮膚が熱く乾いている
  • 体温が40℃近く、呼びかけても受け答えができない(=IV度)
  • 水分を自分で飲めない
  • 60分冷やし続けても体温が38℃以上のまま

迷ったら呼んでください。
「呼ばなくてよかった」で終わる方が、ずっといい結果です。

※眠っている子どもが一瞬ビクッとする動きは、けいれんではないことがほとんどです(睡眠時ミオクローヌス)。見分け方はこちらに書いています。

病院を受診するときのメモ

受診する際は以下をメモしておくと診察がスムーズです。

  • 熱が出た時刻と、その後の最高体温
  • その日に飲んだ水分量・トイレの回数
  • 家族・周囲に同じ症状の人がいるか
  • 解熱剤を飲んだか・いつ飲んだか
  • 持病・常用薬の有無

熱中症を予防するために

熱中症は予防が最も大切です。特に子どもは体温調節が未熟なため、大人がしっかりサポートしましょう。

  • 15〜20分おきにこまめな水分補給(スポーツドリンクや経口補水液が効果的)
  • 暑さ指数(WBGT)が31℃以上のときは屋外での運動を中止する(今日の数値は環境省・熱中症予防情報サイトで確認できます)
  • 塩分も忘れずに(塩飴やスポーツドリンクで補給)
  • 睡眠不足・疲れがあるときは特に注意する

大人・高齢者の方への注意点

この記事では主に子どもの熱中症を例に解説しましたが、大人・高齢者の方も同じ手順で判断できます。ただし、高齢者は暑さを感じにくく、気づかないうちに重症化しやすいという特徴があります。また、尿を出す薬(利尿薬)、血圧を下げる薬(降圧薬)、一部の胃腸の薬・アレルギーの薬・尿のトラブルの薬(抗コリン薬)などを服用中の方はリスクが高いため、「少し顔が赤い」「なんとなくぼんやりしている」といった軽微なサインも見逃さないようにしましょう。周囲の見守りが命を救います。
大人の熱中症については、Ⅰ度症状の重要性と対処法にもまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q. 熱中症に解熱剤は使っていい?

A. 熱中症には解熱剤は効果がありません。熱中症の熱は、ばい菌やウイルスと戦うために体が上げている熱ではありません。体が熱を逃がしきれずにたまってしまった熱です。まず涼しい場所への移動と冷却を優先してください。感染症かどうかの区別がつかない場合は医師に相談を。

Q. 夜に急に熱が出た場合も30分ルールは使える?

A. 使えます。ただし、屋外活動がなかった夜間の発熱は感染症の可能性が高いです。「その日に暑い環境にいたか」を確認し、思い当たらない場合は感染症として対応しましょう。念のため冷却して30分後に体温を測り、改善しなければ受診を検討してください。

Q. 水分補給に麦茶でもいい?

A. 軽症(I度)であれば麦茶でも構いません。ただし麦茶だけでは塩分が補給できないため、中等症以上や大量に汗をかいている場合はスポーツドリンクや経口補水液が推奨です。塩飴と合わせて使うのも効果的です。

まとめ

全国・都道府県別の最新の搬送者数は、総務省消防庁の熱中症情報で毎週公表されています。

子どもの発熱が熱中症か感染症かを見極めるには、「暑い環境にいたか」「冷やして30〜60分で体温が下がるか」の2点が鍵です。冷静に観察しながら対処し、危険サインが1つでも出たらすぐに119番を呼んでください。

判断に迷ったときや、症状が改善しない場合は、いつでもクリニックにご相談ください。

🚗

関連記事:夏の車内は15分で危険温度に!

JAFの実験データをもとに、車内熱中症を防ぐ5つの対策をわかりやすく解説しています。

記事を読む →

ご判断に迷うときはご相談ください。札幌市中央区・幌南小学校前の発熱外来のご案内

📅 診察のご予約はこちら

Web予約はこちら

南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸(こばやし としゆき)|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。子どもからおとなまで、家族をまるごと診られる町の医師でありたい。診察室で「聞いてよかった」と言ってもらえた話を、ここに書き残しています。 お問い合わせはこちら

-大人の病気, 子どもの病気
-,