📅 2026年9月7日 (4日前に公開)
「なんか、しゃべれない」
朝の集合場所で、相方にそう言った。その日のうちに入院。
サンドウィッチマン・伊達みきおさんの脳梗塞が、事務所から公式に発表されました。
幸い大事には至らず、いまはリハビリに専念。当面は富澤さんが単独で活動を続けるそうです。
伊達さんは50代前半。私と、まったく同じ世代です。
脳梗塞は、10年で約半数が再発します
脳梗塞は、一度起こすと1年で約10人に1人が再発します。
10年で、約半数。
そして再発のほうが、後遺症は重くなりやすい。
(出典:久山町研究 Hata J, et al. 2005。脳梗塞初発後の累積再発率 1年約10%・5年約34%・10年約50%)
これは芸能人だけの話ではありません。
深夜まで終わらない仕事。
移動中の仮眠でつじつまを合わせる睡眠。
時間があるときに、あるものを食べる食事。
封筒に入ったまま、開けていない健診結果。
働き盛りの方なら、どれか1つは心当たりがあるはずです。
脳梗塞は「突然の事故」ではありません
では、なぜ50代の脳が「詰まる」のか。
脳梗塞は突然の事故ではなく、何年もかけて仕込まれた「生活の結果」であることが多い。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、その先の脳細胞に血液が届かなくなる病気です。
詰まり方で、大きく3つのタイプに分かれます。
- ラクナ梗塞(細い血管が詰まる)。主な原因は高血圧。細い血管が長年の圧に耐えきれなくなり、詰まります。
- アテローム血栓性脳梗塞(太い血管の内側が詰まる)。血管の内側にコレステロールの塊がたまって狭くなります。土台は高血圧・糖尿病・脂質異常・喫煙。
- 心原性脳塞栓症(心臓でできた血の塊が飛ぶ)。主な原因は心房細動という不整脈。大きな血管をふさぐため、重い梗塞になりやすいタイプです。
日本では上の2つが合わせて約6割、心原性が約3割です(出典:脳卒中データバンク)。
つまり脳梗塞の多くは、生活習慣が根っこにあるタイプだということ。
伊達さんの病型は発表されていないので、私にも分かりません。
ただ、血圧が高いこと、そして多忙なことは、以前からたびたび話題になっていました。
同世代の私たちにとって、他人事ではない理由がここにあります。
「様子を見る」を、やめる
かつて、脳梗塞は「起きたら安静にして、様子を見る」病気でした。
いまは、発症から4時間半以内なら血栓を溶かす薬が使えます。太い血管ならカテーテルで血栓を取り除く治療もあります。
「発症4.5時間以内の脳梗塞にrt-PA静注療法が強く勧められる」(出典:脳卒中治療ガイドライン2021、日本脳卒中学会)
だから、原則はひとつ。「様子を見る」を、やめる。
治療は早いほど有利です。
「様子を見た1時間」が、その後の何十年の後遺症を左右します。
覚えるのは4文字。「FAST」
脳梗塞のサインを見分ける合言葉が「FAST」です。
イギリスの救急医療で生まれ、いまは世界中で使われています。日本脳卒中協会も推奨する合言葉です。
- F(Face・顔)。顔の片側が、だらんと下がる。
- A(Arm・腕)。片腕が上がらない。力が入らない。
- S(Speech・言葉)。ろれつが回らない。言葉が出にくい。
- T(Time・時間)。1つでもあれば、すぐに119番。
自分では気づきにくいことが多い病気です。
だからこそ、家族や同僚が「あれ?」と思ったときが勝負です。
再発を防ぐ「3本柱+生活」
- 血の塊を作らせない薬(抗血栓薬)。タイプで薬が変わります。ラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞なら、血小板の働きを抑える「抗血小板薬」。心房細動が原因の心原性脳塞栓症なら、血の固まりそのものを防ぐ「抗凝固薬(DOACやワルファリン)」。
- 血圧をしっかり下げる薬(降圧薬)。3タイプすべてに関わる、いちばんの土台です。
- コレステロールを下げる薬(スタチン)。血管の内側にたまる塊を減らします。
- 禁煙・減塩・体重管理・運動習慣。薬と生活、両方そろって初めて再発が抑えられます。どちらか片方では足りません。
よくある誤解
誤解:症状が数分で消えたから、大丈夫。
本当のところ:一時的に消える発作(TIA)は、本格的な脳梗塞の前ぶれです。消えても当日中に受診を。
誤解:血圧の薬は一度始めたら一生だから、まだ飲みたくない。
本当のところ:放置した血圧が、ラクナ梗塞もアテローム血栓性梗塞も作ります。生活改善で下がれば、減量や中止も検討できます。
今日からできること
- 家族に「FAST」の4文字を、今夜の食卓で教える
- 健診結果を開いて、血圧・LDLコレステロール・血糖(HbA1c)に赤字がないか確認する
- 今夜と明朝、家庭で血圧を測る。上が135以上または下が85以上が続くなら受診の目安
- 動悸や脈の乱れを感じたことがあるなら、心房細動の可能性を一度相談する
伊達さんには、しっかり休んでリハビリに専念していただき、再発を防いだうえで、また元気な姿をテレビで見せてほしい。
そして同世代の私たちも、最近見ていなかった血圧の数字や健診結果を、これを機に一度見直してみませんか。


