溶連菌感染症ってどんな病気?− 溶連菌とコロナウイルスとの違い
お子さんが「のどが痛い」って訴えることはとても多いですよね。新型コロナウイルスの感染拡大のため、かぜ症状があるとコロナウイルスじゃないかって心配になりますよね。
「のどが痛い」という場合は、ウイルスや細菌に感染して「のど」に炎症を起こすため「のどが痛い」ということが多いです。
ウイルスが原因となることが多いのですが、細菌の中では溶連菌が重要です。溶連菌感染症はこどもに多い病気ですが、大人であってもかかります。
抗菌剤で著効する病気なので診断がとても大切なのです。
今回は、どんな症状であれば溶連菌感染を疑うか悩んでいるパパやママの悩みを解決します。
本記事の内容
✔️ 溶連菌感染症の原因
✔️ 溶連菌感染の症状〜コロナウイルスとの比較
✔️ 検査と診断
✔️ 溶連菌の治療
✔️ まとめ
溶連菌の中にもA群・B群・C群・G群など複数の種類があり、その中でもA群β溶血性連鎖球菌という細菌に感染する割合が最も高く、溶連菌感染症の約90%以上を占めます。
そのため一般的には、「A群溶血性連鎖球菌による感染症=溶連菌感染症」と考えていただいてよいかと思います。
ご存知かと思いますが、新型コロナウイルス感染症の正式名称は「COVID-19」です。COVID-19の「CO」は「corona」、「VI」は「virus」、「D」は「disease」の意味です。2019年に発生したので19とついています。
ウイルス名はSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして「SARS-CoV-2」と名付けられました。
溶連菌感染症では、2~5日の潜伏期間の後に、38度を超える高熱、倦怠感、喉の痛み(つばを飲み込むと痛いです)、イチゴ舌(舌に小さな発疹ができる症状)といった症状を認めます。
そのほか、嘔吐を伴ったり、手足に小さく赤い発疹が出たりすることもあります。頭痛や腹痛、首にあるリンパ節が痛くて腫れるといった症状が出ることもあります。
急性期を過ぎると、発疹の後に皮むけを認めることもあります。
溶連菌には咳や鼻水・鼻閉が出ないことが多いという特徴があります。
一方で、新型コロナウイルスの多くは発熱、呼吸器症状(咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉など)、頭痛、倦怠感、味覚障害・嗅覚障害がみられます。多くはありませんが、下痢や嘔吐などの消化器症状も認めます。
溶連菌感染 | 新型コロナウイルス | |
感染性/感染経路 | 非常に強い/接触または飛沫感染 | |
潜伏期 | 2〜4日 | 1~14日間、平均期間は5~6日 |
症状 | 全身倦怠感(けんたいかん) 発熱 唾を飲み込むとのどが痛い のどや扁桃腺が腫れ、口の中に白い部分がみられる 咳やくしゃみがほとんど出ない 鼻水、鼻詰まり等の症状があまりない 腰、肘、膝、足など比較的大きい関節の痛み | 初期症状)平均して5~7日間程度 鼻水や咳、発熱、喉の痛み、筋肉痛や体のだるさなど 嗅覚・味覚障害を訴える人もいる。 他には、鼻づまりや鼻水、頭痛、痰や血痰、下痢など 重症化せず軽快する方は、およそ80% 初期症状が5~7日間で軽快せず重症化すると、肺炎を発症 |
治るまでの期間 | 抗生剤を飲むと、2~3日ほどで解熱、のどの痛みも改善する。 | 軽症であれば7日程度 |
治療方法 | 抗生剤を10日間 | 対症療法が中心 肺炎に進展した場合は抗ウイルス薬、血栓予防の抗凝固薬、免疫の暴走を抑えるステロイド薬。人工呼吸器など |
溶連菌感染症では、強いのどの痛みという局所の症状が強く発熱を伴うことが多いです。それと比べると新型コロナウイルスの症状が非常に多彩です。
ただし、コロナウイルスであっても咽頭痛だけが主体であることもあるので注意が必要です。
溶連菌感染が疑われる症状が現れた場合は、できるだけ早期に医療機関を受診しましょう。
まず、問診によって年齢や熱の程度、喉の赤みや体の発疹の程度、周囲の流行状況などを確認します。
その上で溶連菌に感染している疑いがある場合は、綿棒を使って喉の中から細菌の有無を調べる検査を行います。10分程度で溶連菌に感染しているか否かの結果がわかります。
他の病気や炎症の程度を調べる必要があるときは、血液検査を行うこともあります。
新型コロナウイルスのPCR検査は唾液あるいは鼻腔からの検査です。
唾液は約2mlほど出す必要があります。ご高齢な方、口のなかが乾燥しがちな方では唾液を出すことができずに苦戦を強いられます。鼻からの検査がおすすめです。
鼻からの検査はみなさんもご存知のインフルエンザの検査と同じです。鼻の奥がツーンとするかもしれません。
結果の判明には検査をした翌日になることが多いです。
抗原検査を実施している医療機関では検査した当日に結果が判明します。
溶連菌感染と診断された場合には、抗生物質の投与や解熱鎮痛剤による薬物治療を開始します。
抗菌薬によって2−3日で解熱することがほとんどです。咽喉の痛みも次第に治まり、発疹が出た場合は皮むけを認めることもあります。
それ以上に熱が続く場合には、溶連菌以外の病気が隠れているかもしれないので再度の受診がおすすめです。
確実に溶連菌を排除し、合併症を引き起こさないようにするためには、症状が消えても抗菌薬を10日間飲み続ける必要があります。
新型コロナウイルスの治療は初期症状に対しては、対症療法が中心です。発熱に対しての解熱剤や咳に対しての咳止めなどです。
肺炎に進展した場合は抗ウイルス薬、血栓予防の抗凝固薬、免疫の暴走を抑えるステロイド薬を使用します。それでも症状が進行する場合には、集中治療、人工呼吸器などが必要となります。
溶連菌感染症は、繰り返しかかることもあり、大人になってもかかります。当院でも溶連菌感染を繰り返している方がいます。
溶連菌感染症は日常生活の中で出る咳やくしゃみなどによって近くの人に感染(飛沫感染)することがあります。一人がかかったら家族への感染に注意が必要です。
いつ頃から幼稚園や学校に行ってよいかの目安です。
適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に他への感染力は消失するため、それ以降、登校(園)は可能です。
ただし、抗菌薬は医師が指示した期間中、しっかりと飲むように心がけてください。
新型コロナウイルスについては診断された後には毎日、保健所から連絡がきて色々とアドバイスをもらえ、隔離機関はおおよそ10日間となっております。濃厚接触者については14日間となります。
溶連菌感染症では典型的には発熱を伴う咽頭局所の痛みが強くでることが特徴です。新型コロナウイルスでは症状は多彩ですが、溶連菌感染と区別が難しいこともあります。
医療機関を受診し、病歴や身体所見、検査(溶連菌の迅速検査や新型コロナウイルスに対する抗原検査やPCR検査)を実施することが診断できます。
お困りの際には医療機関を受診して確認してください。