オゾン除菌装置による感染対策は万全か?
新型コロナウイルス対策でオゾン除菌装置を設置している施設があります。
ある私立高校では、「全教室オゾン除菌脱臭器設置、オゾンで新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスを不活性化!」といった宣伝をしていました。
Googleでオゾンと調べるとオゾン除菌装置の広告がたくさん掲載されております。
オゾン除菌装置の仕組みとデメリットについてお知らせします。
オゾンは3つの酸素原子からなる分子です。
2つの酸素原子で酸素分子です。私たちが呼吸している酸素分子は生命に不可欠なものです。
3番目の酸素原子は、オゾン分子から離れて他の物質の分子に再結合し、化学組成を変化させることができます(この結合を酸化と呼びます)。このように他の物質と反応する能力が、メーカーの主張の根拠となっているのです。
オゾンは活性酸素の一種であり、吸い込むことで気道粘膜や気道上皮オゾンに炎症を起こします。オゾン濃度は高くなれば高くなるほど人体にとって有害となりうるのです。
オゾンが新型コロナウイルスに有効と発表された。奈良県立医科大学から発表されました。
その報告によると、オゾン濃度6ppm、55分またはオゾン濃度1 ppm、60分で新型コロナウイルスが不活化されたというものです。
日本産業衛生学会が定めているオゾンの許容濃度は0.1 ppm以下です。この濃度であっても表のような症状がでる可能性があります。米国のFDAはさらに厳しく0.05ppmです。
新型コロナウイルス不活化のための実験条件は許容濃度を大幅に上回る濃度です。ヒトは普通に生活できる環境で使用できるオゾン濃度ではありません。
オゾンは人が長時間滞在しない場所の脱臭にはよく使われるものですが、人が長く滞在する場所や特に機械の近くで高い濃度のオゾンに曝露される場合には健康被害が出てもおかしくないのです。
オゾンによる身体への有害症状については以下の表をご参照ください。
高濃度のオゾンを吸い込むと、肺にダメージを与える可能性があります。比較的少ない量では、胸の痛み、咳、息切れ、喉の炎症を引き起こす可能性があり、喘息などの慢性呼吸器疾患を悪化させたり、呼吸器感染症に対する抵抗力を低下させたりする可能性も示唆されております。
また、奈良県立医科大学の研究では、実験室内のウイルスを想定しております。実際にはウイルスは水分やタンパク質からできており、実験室での結果がそのままリアルワールドに当てはまるかかもわかりません。
人体に影響の出ないレベルのオゾン濃度でのウイルス不活化効果を伝えている報告もありますので、これからもオゾンのメリットデメリットをしめす研究報告に注目していこうと思います。
また、オゾン除菌装置だけに頼るのではなく手洗いやマスク着用といった感染対策をきちんと継続することも大切ですよね。