白内障は目の問題だけではないかもしれない~視力低下で転倒・骨折やうつ病にもなるんです。
先日、糖尿病や高血圧を持つ高齢男性から白内障の質問を受けました。眼科非専門医の解説です。
白内障とは「目の中のレンズである水晶体が濁ってしまう病気」です。
下の図にある水晶体に注目してください。
水晶体が濁って、曇りガラスを通してものを見ているような状態になり、物がかすんで見えるようになります。光は水晶体の中の濁りにより様々な方向へ乱反射してしまい、まぶしさを感じます。
徐々に目が見えにくくなっていきます。ある日、突然、目が見えにくくなるわけではありません。水晶体の濁りとともに年単位で緩徐に進行することが多い病気です。暗いときと明るいときで見え方が違ってくるといった症状もあります。
水晶体は主にたんぱく質と水でできています。
そのたんぱく質は、加齢などのさまざまな影響を受けて、だんだんと白く濁っていきます。その結果、水晶体全体が濁っていきます。
白く濁る最も多い原因は加齢です。他に先天性(風疹など)、糖尿病、アトピー性皮膚炎、ステロイド長期投与、ダウン症、外傷、放射線などが原因と考えられています。
手術になります(超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入など)。濁った水晶体の中身を吸い出して、その中に人工のレンズをいれます。
点眼薬が使用される場合もありますが、エビデンスのあるものはありません。一度濁った水晶体をきれいする点眼薬はまだ見つかっておりません。
内科と関連することなのですが、前立腺肥大や血圧のお薬の中で「α遮断薬」をのんでいると、虹彩緊張低下症候群という合併症が起こり、瞳孔が狭くなって、手術の難易度が上がるケースがあるそうです。必ず事前に眼科医師に報告をしてください。
白内障の治療をして視力が良くなることでうつ病が改善したり、転倒リスクが下がったりすることが報告されております。視力が下がるとことでうつ病になることもあるんです。
高齢のご家族がいて、気分の低下や興味関心の低下がある場合には一度、考えてみてください。