夏の感染症:ヘルパンギーナ
7月~9月に流行する感染症は、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「アデノウィルス(プール熱)」が3大夏風邪です。本日は、ヘルパンギーナの話です。
本記事の内容
・ヘルパンギーナとは
・症状
・ヘルパンギーナにかかってしまったら
・感染経路
・予防法
乳幼児に多く見られる夏風邪です。5歳以下が全体の90%以上を占め、1歳代がもっとも多いです。
ヘルパンギーナは、毎年5月頃より増加し、7月頃にかけてがピークです。8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんどいなくなります。
ヘルパンギーナはウイルスによってかかります。主に、コクサッキーウイルスA群が原因ですが、ウイルスの型がいくつかあるので、何度もかかってしまうことも珍しくありません。まれに大人も発症します。
潜伏期間は、3〜6日です。突然、39℃以上の熱が出て、1〜3日つづきます。それと同時に、のどが赤く腫れて小さな水ほうがたくさんできます。水疱は2〜3日でつぶれて黄色い潰瘍になります。
のどの痛みが強いので、食事や飲みものを摂取できなくなって、脱水になることもあります。
たいていは軽症ですむのですが、まれに髄膜炎、急性心筋炎といった合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。
特効薬はありません。抗生剤も効きません。発熱や口内炎に対して鎮痛解熱薬を使用します。
のどに痛みがあるので、オレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、のどごしの良い少し冷たい飲みものがおすすめです。アイスもお勧めです。
ヘルパンギーナはインフルエンザのように出席停止の扱いにはなりません。熱が下がり、食事がしっかりととれるようになれば、登校できるかどうかが判断されます。
ヘルパンギーナは、くしゃみなどの際に出る飛沫によって感染する「飛沫感染」と、舐めて唾液や鼻水がついたおもちゃの貸し借りなど、手が触れることで感染する「接触感染」、ウイルスの入った食べ物や飲み物を口にすることで、ウイルスが体内に入り、腸で感染する「経口感染」が主な感染経路です。
ワクチンはありません。感染力は発熱やのどの痛みが強い時期に最も高いですが、2~4週間にわたってウイルスが便から排出され続けるため、感染力が0ではありません。発症後1ヶ月程度は注意が必要です。手洗い、環境消毒を徹底しましょう。便中にウイルスが排出されるため、おむつなどの排泄物の処理には、使い捨てゴム手袋を利用するなどし、十分に気をつけましょう。食器やタオルを共有しないようにしましょう。
ヘルパンギーナの主な原因であるコクサッキーウイルスA群には、エンベロープはありません。石鹸やアルコールが効きにくいので、ノロウイルスの感染予防の際にも使用する次亜塩素酸ナトリウムを使用して消毒をしましょう。