ヒトは身体は微生物だらけ:マイクロバイオーム
私たちの身体のなかには、星の数ほどの微生物が住んでいると聞くと驚きませんか?
驚かない方は以下の文章を読む必要はありません。知らなかったヒトは是非読んで、マイクロバイオームという言葉だけでも覚えてください。
How Bacteria Rule Over Your Body – The Microbiome
マイクロバイオームについての説明動画です。日本語字幕あります。
微生物と聞くとあまり良い印象はないかもしれませんが、もしも、この微生物に私たち人間が見放されたら、栄養失調か感染症で長くは生きていけません。
この微生物は、ただ我々の身体をすみかに借りているだけではなく、私たちが生きていくために食べ物の消化吸収を手伝い、免疫力のバランスを調整し、肌荒れや病原菌の侵入を防ぎ、さらには僕たちの感情や思考に影響を与えていることがわかってきました。
この身体のなかの微生物をマイクロバイオーム(微生物叢)と呼びます。このマイクロバイオームはヒトの健康や病気にすごく大切な役割を果たしています。
ヒトの体内には100兆もの微生物が生息していると推測されています。大部分は腸にすんでいます。この微生物(マイクロバイオーム)には細菌やウイルス、真菌などが含まれています。
母親のお腹の中にいる赤ちゃんは無菌なのですが、産道を通過する時に様々な微生物が赤ちゃんのあらゆる部位に付着し微生物にコーティングされるのです。このコーティングの後はご家族との接触や環境、食べ物などによって変化していき、3歳くらいに完成します。
マイクロバイオームは一人一人全く違っており、一人の人間の中でも場所によって全く違います。環境が同じである兄弟同士は似ているようですが、全く一緒ではありません。
マイクロバイオームは人間の体に良いことをしてくれるもの、悪影響を与えるもの、外敵がやってきたら攻撃して戦うものなどがいます。
例えば、ある乳酸菌は、口の中にいる雑菌を押さえ込んでくれますが、別の乳酸菌は強い酸を出して虫歯を誘発したりします。
他にも、マイクロバイオームは、食べ物の消化を助けたり、ビタミンを生産したり、外敵から腸を守ってくれたり、ヒトの免疫システムを制御したり、さらには最近では脳に働きかけてヒトの行動にまで影響を与えたりしていることがわかってきました。
マイクロバイオームを良く働くように維持できれば、我々も健康を維持できるといわれてます。このマイクロバイオームが乱れることで発症する病気があります。
マイクロバイオームはそれぞれに好みのものがあるようです。食物繊維が好む者や脂っこいフライやバターを好む者もいます。
ファストフードばかり食べていると、ファストフードが好きなマイクロバイオームばかりが繁殖し、ほかの微生物を押しのけて、脳にもっとファストフードを食べるように働きかけます。こうして肥満が形成されます。
ヘルシーなものや善玉菌を増やすことでこの悪循環を改善できる可能性があります。
最近は新型コロナウイルスとの関連も指摘されています。
COVID-19は8割の人はそのままほおっておいても治癒します。2割の人が発症から7日を過ぎたころに肺炎を来たします。コロナウイルスによって気道のマイクロバイオームが乱され免疫のバランスが壊れて、過剰な免疫反応(サイトカインストーム)が起こる可能性が示唆されております。
BCGも乳幼児期に接種してマイクロバイオームが変化することでCOVID-19への感染のしやすが変わる可能性があるのではないかという内容です。今後、解明されるのが楽しみです。
マイクロバイオームに対する最大の脅威は、抗生物質の多用です。
抗生物質によって多くの人の命が救われてきましたが、現在、抗生物質は安易に多用されている可能性があります。抗生物質は善玉菌と悪玉菌を区別することができずにマイクロバイオームを皆殺しにしてしまいます。
他にマイクロバイオームに有害なものとしては、喫煙や抗菌成分を含むマウスウォッシュ、加工食品があります。
以前に比べるとマイクロバイオームの種類が減っていることが、喘息とかアレルギーなどの病気が増えている原因ではないかという説もあります。
私たちは微生物と一緒でなくては生けていけませんし、微生物もヒトがいないと死滅してしまう関係にあります。
マイクロバイオームについてはこうしたら絶対に良くなるといった関係についてはまだ研究段階です。少なくとも脅威と考えられている行動は慎みたいですね。