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ブログ妊娠前の予防接種

妊娠前の予防接種

2021.06.04
予防接種

「妊娠を考えていて、妊活をする前の予防接種を打った方がいいかな?」

と悩んでいる方の疑問を解説します。

当院ではたくさんの妊娠を希望されている方に予防接種や抗体検査をご案内してきました。

本記事では、妊娠前に予防接種を打つ大切さやどんなワクチンをうつとよいか、新型コロナウイルスワクチンをどうしたらよいかといった内容を解説していきます。

事前に予防できる感染症をしっかりと予防して、不安を取り除きたいですね。

  • 目次
    1. 妊活の前に予防接種をしましょう
    2. 妊活、妊娠中のコロナワクチンはどうするか
    3. 周りにいるヒトも予防接種をしましょう
妊活の前に予防接種をしましょう

妊娠中に感染してしまうと、妊婦さんが重症化したり、おなかのなかのあかちゃんが感染して流産や早産してしまう危険のある感染症があります。

そのなかにはワクチンで予防できる感染症があり、妊娠を希望している女性はあらかじめその感染症に対する免疫をつけておくことが、元気な赤ちゃんを産むためにとても重要です。現在、妊娠前に推奨されている予防接種は以下です。

  • 風疹
  • 麻疹
  • 水痘
  • おたふくかぜ
  • インフルエンザ
  • 百日咳

現在は風疹と麻疹、水痘、百日咳は定期接種が行われていますが、接種もれしている方もいらっしゃいます。おたふくかぜは現在でも定期接種に入っていません。ある感染にかかったことがあると思っていても、じつは似たような別の病気と勘違いしている場合も少なくありません。

また、予防接種を受けても、年数が経過すると免疫効果が弱まっている可能性があります。そのため、これらの感染症について抗体価を測定して十分な免疫があるかどうかを確認して、十分な免疫がないときには、予防接種を受けることが望ましいと思われます。

風疹・麻疹・水痘・おたふくかぜワクチンは生ワクチンであり接種の1ヵ月前から接種2ヵ月後までは避妊が必要です。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊娠期間中でも接種可能です。

百日咳ワクチンは、諸外国では妊婦さんに対して成人用三種混合ワクチン(Tdap)の接種が推奨されています。しかし、日本ではTdapは未承認ワクチンのため輸入ワクチンとして扱う医療機関に問い合わせてください(当クリニックでは取り扱いがありません)。日本で使用されている成人用三種混合ワクチン(トリビック)は妊婦への安全性は確立されていませんので当院では妊娠前におすすめしております。

妊活、妊娠中のコロナワクチンはどうするか

妊娠中に「新型コロナワクチンを接種しても大丈夫ですか?」という質問を受けることがあります。アメリカやイスラエルでは接種を推奨し、英国やカナダでは推奨しないと各国で対応が別れております。現時点での日本産科婦人科感染症学会、日本産科婦人科学会の提言が出されましたので、以下に抜粋します。

  • COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していない。
  • 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。接種する場合には、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していないことを接種前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内での経過観察が必要である。器官形成期(妊娠 12 週まで)は、ワクチン接種を避ける。⺟児管理のできる産婦⼈科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児⼼拍を確認する。
  • 感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している⽅は、ワクチン接種を考慮する。
  • 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
  • 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)

    全文については以下のリンクをご参照ください。http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210127_COVID19.pdf
    妊娠を希望されている方、妊娠中の方は産婦人科担当医師と接種についてご相談をお願いします。
周りにいるヒトも予防接種をしましょう

パートナーや同居している家族は必要な予防接種を受けているでしょうか。例えば、風しんは感染力が強い感染症ですが、症状が現れないあるいは現れても軽い微熱程度ですむこともあります。症状は軽くてもヒトにうつす可能性があるため、知らず知らずのうちに、​風しんを広めてしまっていることもあるのです。

本人に抗体(免疫)がある場合でも大量にウイルスにさらされると、ウイルスの増殖に免疫力がついて行けずに発症する可能性があります。特に家族内に感染者がいる場合は、濃厚接触は避けられないので大量のウイルス曝露のため発症してしまう可能性があります。本人だけではなく、本人と長く時間を過ごす可能性のあるヒトは予防接種を受ける必要があるのです。

また、すでに妊娠してしまっている場合には生ワクチンは接種することができません。パートナーや周囲のヒトにご理解をいただき予防接種を検討してもらってください。

まとめ
  • 予防可能な感染症を防ぐため妊娠前に予防接種を打つことは大切なことです。母子手帳や抗体をして現状を把握することから始めましょう。
  • 新型コロナウイルスワクチンはまだ世に出たばかりのワクチンです。現時点では妊婦や胎児、出生児に対する安全性、副反応はわかっていません。しかし、妊婦さんが接種の対象外ではないので基礎疾患の有無などを考えて産婦人科担当医師と相談してください。
  • パートナーや同居者から感染する可能性があるので、予防接種を検討してください。

予防できる感染症をしっかりと予防して、妊娠・出産前の不安を取り除きましょう。

 

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