鼻汁好酸球検査であなたの鼻汁の原因がわかるかも
花粉症で辛い思いをしている方
毎年ある時期になると鼻汁やくしゃみが止まらない、一年中鼻汁がでるといった症状でお悩みの方がいると思います。
花粉症だと思うけど、きちんと検査はしたことがない。そんな方に鼻汁の検査はお手軽にでき、診断の助けになるかもしれません。
本記事の内容
・白血球の仲間を紹介
・アレルギー性鼻炎と鼻汁中好酸球
・鼻汁の好酸球が増える病気は他にもある
日本人の約20%が花粉症といわれているくらいありふれた病気です。
花粉症は、植物の花粉によっておこるアレルギーの病気です。花粉症の鼻にかかわる症状はアレルギー性鼻炎によって起こります。3大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。これは、風邪の症状とも似ています。花粉症では目のかゆみやのどのかゆみ、風邪では咳や発熱あるいはのどの痛みなどの症状により鑑別されます。
しかし、どちらも鼻以外の症状がないことがあり、このような時には短時間で簡便にできる鼻汁中好酸球検査が有用です。
鼻汁を綿棒でとるだけのほんとに簡単な検査です。
白血球は、血液の中を漂っている、成分の一つです。細菌やウイルスなどの異物が体に入ってきた時に、体を守ってくれます。
異物が侵入すると白血球数が増加し、異物を細胞内に取り込み無害化します。すな
わち、細菌等の感染症に罹患すると血液中の白血球数が増加します。
白血球には主に好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類があります。それぞれに役割があります。
好中球は白血球の約5割を占めます。生体内に侵入してきた細菌や真菌などの病原菌や異物を飲み込んで分解し、殺菌を行うことで感染を防ぐ役割をしています。
身体の防御反応に関係し、アレルギー疾患や寄生虫の感染などで増殖します。
好塩基球は細胞内の顆粒にアレルギー反応の原因となるヒスタミンなどを含んでおり、即時型のアレルギー反応を引き起こします。
単好中球と同様に貪食作用を有し、感染を防ぐ役割をしています。また、血液中から組織内に入り、マクロファージとなって組織の異物を処理する細胞としても働きます。
リンパ球は、さらにB細胞、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などに分類されます。細菌やウイルスなどの病原体に感染した細胞を攻撃します。
アレルギー性鼻炎では、鼻の粘膜で好酸球数が増加することが多いです。
一方で、細菌感染・ウイルス感染では、(これも白血球の一種である)好中球が増加します。
そのため、鼻水が出たときに、それが感染によるものなのか、アレルギーによるものなのかを判断したい時に鼻汁の検査が診断の助けになります。
実は、風邪の鼻水もアレルギーの鼻水も治療薬は同じです。しかし、治療期間が違います。感冒であれば数日で改善するので、辛いときだけ服薬すればよいですし、アレルギーの場合には、アレルギーの原因がある期間の治療が必要となるかもしれません。例えば、シラカバ花粉が原因であれば、花粉が舞っている期間の治療となりますし、飼っている犬の毛が原因であれば一年中の治療が必要かもしれません。
ただし、鼻汁の好酸球が増加する疾患は他にもあります。
気管支喘息
鼻ポリープ
好酸球増多症など
以上のような病気では、アレルギー性鼻炎がなくても、鼻汁の好酸球が増加することがあります。これらの病気は問診や身体所見、血液検査などで鑑別が必要となることもありますが、症状から容易に鑑別可能であることも多いです。
鼻汁をみた場合に感染によるものかアレルギーによるものか区別は難しいことも多々あります。そんな時に鼻汁の検査は簡便で短時間でできるのでお勧めです。