エコーは超音波のことで、人が聞き取ることのできない非常に高い音です。エコーを身体の中の臓器にあてて、音の反射をもとに画像をとして表示することで、外から見ることのできない臓器の状態を確認する検査方法です。
エコーは侵襲性(身体への悪影響)が無く、臓器の動きや形、しこりなどの異常を調べることができる検査です。お腹の中の赤ちゃん(胎児)の発育状態を調べることにも使われている検査方法ですので、妊婦の方も安心して検査を受けていただけます。
エコーは使用する身体の部位によって様々な場所を調べることができ、当院では
頸動脈エコー:首の動脈の動きを調べる
心エコー:心臓の動きを調べる
腹部エコー:お腹の中の胃や腸の動きや内部の状態を調べる
甲状腺エコー:のどの下の方にあるホルモンを分泌する甲状腺の動きを調べる
乳腺エコー:乳房の中にある乳腺を調べる。
といった検査を行っています。
日頃の生活でのお悩みや症状から、異常がみられる可能性のある臓器を調べて検査ができます。
頸動脈エコー
健康診断で動脈硬化の疑いや血圧の異常がみられる
脂質異常症や糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病(の疑い)がある
脳卒中や心臓病などの重篤な病気のリスクがある
頸動脈の病気
Tips!頸動脈とは
頸動脈とはその名前の通り、首にある動脈(心臓から血液を各臓器に送り出す血管)のことです。心臓から脳につながる大きな動脈で、頸動脈の内側に脂肪のカス(プラーク)がたまると、血管が詰まったり血管が硬くなり動脈硬化を起こします。
頸動脈の動脈硬化が続くと、脳に届く血液や血液に含まれる酸素の量が減ったり、血流が止まったりして脳梗塞、身体の麻痺、感覚障害、言語障害、認知症を起こすことがあります。
頸動脈狭窄症
血管の内部に脂肪のカスがたまり、頸動脈の内腔が狭くなる病気です。
脳梗塞のリスク評価
脳梗塞は脳の中の血管が詰まり、言語障害や体の麻痺、認知症などにつながる病気です。頸動脈エコーでは、血管内の状態を調べることで脳梗塞を起こす可能性があるか早期の段階で調べることができます。
心エコー
胸に圧迫感を感じたり、じっとしているのに動悸がする
階段を少し上がっただけで息切れする
脚がむくむ、胸に水がたまるなど心不全の症状がみられる
狭心症や心筋梗塞、心筋症、心筋炎のリスクがある
心房中隔欠損や心室中隔欠損など先天性の心臓の病気の可能性がある
心臓の病気
Tips!心臓とは
心臓は血液を全身に送り出すための、ポンプのような働きをしています。血液に含まれる酸素や栄養素は身体や臓器を動かすためには欠かせません。
心臓に異常があると、血液がうまく臓器や全身に送ることができず、運動機能や認知機能など様々な活動に支障が出ることもあります。
心臓の大きさや形、動き、血液の流れを調べることで心筋梗塞や狭心症、弁膜症などの病気の早期発見につながります。
心筋梗塞
心臓の周りにある血管の血流が悪くなったり、途絶えたりして心臓を動かすための筋肉(心筋細胞)が壊死する病気です。
狭心症
心筋の酸素が不足して、一時的に胸の痛みや締め付けられる感覚、違和感を感じる病気です。
弁膜症
心臓の中にある血流をコントロールする蓋のような役割をする弁(べん)の動きが何らかの原因で悪くなり、血液をうまく送り出すことができなくなる病気です。
先天性心疾患
心房中隔欠損症や心室中隔欠損症など心臓に穴が開いたような状態の病気です。先天性であることが多いことが特徴です。
腹部エコー
お腹や背中といった体の中心部に痛みを感じる
血液検査や尿検査で異常がみられる
肝臓や胆のう、膵臓などの臓器に異常が疑われる
尿管、膀胱結石、前立腺肥大など泌尿器系の病気が疑われる
腹部の病気
Tips!腹部とは
お腹の中には、胃や腸だけでなく膵臓や胆のう、肝臓など体の状態を健康に保つために重要な働きをする臓器が多くあります。
胆石、胆のう炎
消化吸収を助ける役割のある胆汁という成分が結晶になった状態を胆石といい、脇腹などに痛みを感じる病気です。さらに胆石に細菌などの感染症を併発した場合に胆のう炎という病気になります。
脂肪肝
肝臓に脂肪がたまった状態で、日本人の3人に1人が脂肪肝と言われています。肝硬変や肝炎などの深刻な病気につながる前段階の状態です。
肝腫瘍
肝臓に腫瘍ができた状態で、悪性の腫瘍の場合は肝臓がんとなります。腫瘍が大きくなるまで症状がみられないことが怖い点で、大きくなると発熱や疼痛、黄疸などがみられます。
腎臓結石
腎臓でできた小さな石が尿の通り道にでて、尿道を塞いだり、尿道を傷つけながらゆっくり排泄されていきます。激しい痛みを感じることもあります。
前立腺肥大
トイレに行く回数が増える頻尿や夜中にトイレに目が覚めるなどの症状が特徴の病気で、尿が出にくい状態になります。
甲状腺エコー
首の前が腫れている
血液検査で甲状腺機能異常が見られる
他の画像診断で甲状腺に異常が見られる
甲状腺の病気
Tips!甲状腺とは
甲状腺はのどぼとけの下の方にある器官で、甲状腺ホルモンというホルモンをつくる働きをしています。
甲状腺ホルモンは脳や心臓、腎臓など身体のいろいろな場所に運ばれて新陳代謝をよくしたり、胎児の発育や子どもの発達を助ける役割を持っています。
甲状腺に異常が見られると、甲状腺ホルモンが不足して疲労感や倦怠感、食欲低下、無気力や眠気、抑うつなど様々な症状が見られます。
バセドウ病(甲状腺機能亢進)
食欲の低下や体重の減少が続いている、異様な発汗、イライラするなどの症状が特徴的な病気です。
橋本病(甲状腺機能低下)
身体のむくみや体重増加がある、異様に寒気を感じる、無気力などの症状が特徴的な病気です。
甲状腺がん
のどの痛みや声のかすれが続くことが主な症状です。他のがんに比べて命に関わることは少ないと言われていますが注意が必要な病気です。
乳腺エコー
妊娠中や授乳中で胸のいたみやしこりが気になる
胸のしこりが気になる
以前マンモグラフィーをやって強い痛みを感じた
乳腺の病気
Tips!乳腺とは
乳腺は乳房の中にある器官で、母乳(乳汁)を分泌する働きをしています。母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養や体の抵抗力を高める免疫物質を含んでいるため、病気から赤ちゃんを守る役割があります。
乳腺に異常が見られると、胸の痛みや腫れなどの症状が見られたり、悪性の腫瘍が見られ、病気の進行状況によっては切除が必要となることもあります。
乳腺線維腺腫
良性の腫瘤で腫瘤が小さい場合には経過観察となります。乳腺内に丸くて弾力があるしこりを感じることが特徴的な症状で、しこりを触るとよく動きます。
乳頭腫
乳頭から血が混ざった分泌物が出ることのある乳がんに似た症状が特徴的な病気です。
乳がん
乳房にしこりやただれ、くぼんだ部分ができたり、左右の乳房の形が非対象になることが特徴的な症状です。女性の11人に1人は罹患するとも言われています。
体の中の異常は早期発見が大切
エコーは身体の中にある臓器や血管の状態を簡単に調べることができる点が最大の特徴です。また安全性が高く、リアルタイムで検査できるだけでなく、CTやMRIなどに比べて安価で検査を受けられることがメリットです。
健康診断やほかの検査などで、異常がみられた場合にも臓器の状態を詳しく調べることができます。
また、エコーで見ることのできる臓器の多くは、病気が進行しても症状が現れにくく突然生活へ影響が出たり、命に関わることの多い臓器でもあります。
早期に異常が発見できれば、治療や対策を早く始めることもできるため、気になる症状があれば定期的な検査を受けることをお勧めします。
エコー検査を受けるには
当院では診療時間中にエコー検査を行っております。予約制(2022年9月時点)となっておりますので、WEBあるいは電話でご予約の上ご来院ください。
毎週土曜日と月曜日の午前中に超音波検査技師が実施しております。